ハルノの日々の話

「お題」と詩と日々の話

歩くことは生きること

 

歩け

歩くことは生きること

理由はなくとも外に出る

 

まだ前向きでいられるときは

目に入るのは早咲きの梅

 

まだうつむき加減な時でさえ

足元にはホトケノザ

オオイヌノフグリ

海鳥が目線をあげよと空で呼ぶ

 

ドアを開けて歩きはじめさえすれば

あとは

足の裏が

耳が

ひんやりした空気が

今日を生きる理由をくれる

 

歩くことから遠のいていく老いた親を見ていると

こんな単純なことでさえ期間限定なのだと知らされる

それならば

一分でも多く大地から力をもらっておこう

 

 

温まった体で家に戻ってくると

去年 友人が庭の花壇をつぶした時に救出した

水仙の球根が無事に花をつけたことに玄関で気づき

なぜだかこちらが

「ありがとう」と思った

 

 

今週のお題「元気を出す方法」

夫が<桃鉄>をしているのを見たくない妻の話

桃太郎電鉄

 略して<桃鉄>。すごろく方式で電車を走らせ、止まった駅でその土地の名産品にちなんだ畑や工場、お店などの物件を購入する。それぞれは一度購入してしまえば利益を上げてくれるので手持ちの資産が増えていく。時にビンボー神がついてしまったり、嵐が来たりと思わぬ被害が発生しその売り上げや資産があっという間にゼロになることもある。ただただ早くゴールすればいいというわけではなく、増やした資産の順位も大事。

ザクっといえばこんな感じのゲームで1988年のファミコン世代に一作目が誕生しているらしい。ロングセラーでタレントさんたちの実況動画も出ているくらい認知され人気のゲーム。

 私も名前こそ知っているが昔から”小中学生の男の子がハマるゲーム”という印象。全く興味もなく、プレイしているところも見たことが一度もなかったのに、先日リサイクルショップで夫がWII版の<桃鉄>が安くなっているのを見つけて「やりたい!」と購入し50代になって初めてそのゲーム内容を知ることになった。

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人生の半分を過ぎたあたり

 わたしは今年で52になる。

 もう結構満足な人生を送ってきているのでなにかこれから<自分の幸せのために>足掻く必要も感じない。<満足>とは書いたが私の人生は波乱万丈度合いで言うと平均値を少し上回っていて。それでも特にどこかでへこたれることなく生きていられるのは「何に出くわすか」よりも大事なのは「そのあとどう生きるか」だと思っているから。そして確かな幸せ要素もそれに等しく持っているからなのだが。ここにきてまた新たなフェーズに突入した感じがする。

だけどこれまでとは違うのは私は<ブログを書く>というガス抜きを覚えた。ここからの人生のアレコレはここで吐き出していこうと思う。

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母が持たせたささやかな嫁入り道具

わたしの嫁入り道具

わたしの実家は経済的に余裕のある家ではない

わたしが結婚する時も「何か持たせてあげよう」と母が用意したのは

キッチン用品

自分が使って良かったもの

長く使えるものを数点選んでくれた

 

セラミックのおろし器と

スライサーと

圧力鍋

全部合わせて3万円くらい

母の精いっぱいの結婚祝い

 

多分私なら買わなかったものたち

もちろん20年たった今でも大活躍で

買い替える必要もないのだけれど

それに込められた主婦業30年の経験と知恵と

娘への愛情を思う時

もはや

どうやったら捨てる時が来るのか想像できないくらい

きっと私は捨てられない

 

令和六年元旦

テレビに映る

地割れと

津波

炎の中にも

誰かの小さな”一生もの”が

たくさんあったのだろうと思うと

その失われた<形あるもの>と<形ないもの>とのすべてに

ただ心が痛くって

 

そんな形で

”一生もの”とのお別れが来ないよう

願うことしかできないけれど

今日も大事に

圧力鍋で

お米を炊く

 

新しい年

 

 

 

 

今週のお題「一生モノ」

今年も終わるので自分を歌うよ

わたしのウタ

抗うこともなく

流されるわけでなく 今 ここにいる

解くこともなく

紡ぐこともなく 今 自分がある

人生のおおよそ半分ほどになってようやく

「わたし」の歩幅が見えてくる

 

背伸びしたことも

見ぬ振りしたことも

ここにきて帳尻が合う

悔やむものも減り

叫ぶことも減り

その一瞬を受け止める

 

出会う人も去る人も

すべてただの風景

ドラマもロマンも嫌いじゃないけど

なくても平気な体質で

非情でも薄情でもいいよ

心を守る手段なら

 

生きるスキルを揃えるには時間がかかる

RPGのように

それがわかればあとの人生もう

希望しかないじゃないか

おばあちゃんになった時に歌えるといいね

「わたしは最強」

お餅はお茶漬け

父の出番

我が家でお餅を作るのは父の仕事だった

さいころ家にアルミの大きな漏斗のような形の餅つき機があって

冬になると

父が本業の自営のお店をほったらかしでお餅をつく日があった

思えば父は手打ちうどんとかこの手の作業が好きで

やっている間は職人になったみたいに上機嫌

本当はこんな仕事がしたかったのかなとさえ思わせた

 

私と兄は丸めるのが仕事

小さい頃は砂糖醤油一択で

お鍋に入るお餅も好きだった

 

少し大人になって父の出番はなくなって

お餅は買ってくるものになったころ

ぜんざいが好きになり

結婚してお雑煮が好きになったのだけど

 

でも一番はお茶漬け

父が毎晩のように食べていた冷ご飯のお茶漬けを

お餅でやってもおいしいんだと教えてくれてから

これを昼ごはんにすることもあるくらい好きな食べ方だ

 

”お茶漬けのり”をかけて食べるこの食べ方が一般的なのかはわからないけど

この食べ方をすると父を思い出す

 

父が亡くなって2年目の冬が来る

 

今週のお題「餅」