父の出番
我が家でお餅を作るのは父の仕事だった
小さいころ家にアルミの大きな漏斗のような形の餅つき機があって
冬になると
父が本業の自営のお店をほったらかしでお餅をつく日があった
思えば父は手打ちうどんとかこの手の作業が好きで
やっている間は職人になったみたいに上機嫌
本当はこんな仕事がしたかったのかなとさえ思わせた
私と兄は丸めるのが仕事
小さい頃は砂糖醤油一択で
お鍋に入るお餅も好きだった
少し大人になって父の出番はなくなって
お餅は買ってくるものになったころ
ぜんざいが好きになり
結婚してお雑煮が好きになったのだけど
でも一番はお茶漬け
父が毎晩のように食べていた冷ご飯のお茶漬けを
お餅でやってもおいしいんだと教えてくれてから
これを昼ごはんにすることもあるくらい好きな食べ方だ
”お茶漬けのり”をかけて食べるこの食べ方が一般的なのかはわからないけど
この食べ方をすると父を思い出す
父が亡くなって2年目の冬が来る
今週のお題「餅」