私は「ウルスリのすず」です。
今の絵本の鮮やかな色味とは少し違い、もう少し暗めのイラストのものを小さいころ読みました。
スイスを舞台に「チャランダマルツ」という春の行事をモデルにした<鈴行列>に参加する少年のお話。
小さな少年ウルスリが一番大きいすずを持ちたいのに小さすぎて持たせてもらえず悲しい思いをしますが、大きな鈴をもつためのささやかな冒険をします。大人たちはヒヤヒヤ。でも大きな鈴を持つために頑張ったウルスリは大きな成長を遂げます。
大きな鈴ってどんなんだろう?
見てみたい!
音を聞いてみたい!
ものすごく興味を持ったのを覚えています。ウルスリの「小さくて持たせてもらえない」という子供ならではの悔しさもキュンとしました。
スイスの風景は当時想像するしかなかった年頃ですが、描かれている世界観がとにかく大好きで忘れられず大人になってからスイスに旅行に行くことになった時「あ!大きな鈴見れるんじゃない?」とリサーチ。実際の<鈴行列>は冬の終わりなので旅行のタイミングには合わなかったのですが、その逆の夏の終わり、様々なサイズの鈴を牛たちがつけて山から寒さをしのげる村へと帰ってくる<牧下り>を実際に見るチャンスがありました。
実際の大きなカウベルの音を聞けたときは「ウルスリの鈴だ!」と何とも言えない懐かしい幸せな気持ちになりました。
自分も「小さくてすぐには達成できないもの」を「大きくなって達成できた」感じが重なった瞬間でした。
冬にピッタリです!
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